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Channel: 岩ちゃんのガラクタ倉庫
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DTC-A8 検証編

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みどっちさんからDTC-A8のお預かりしています。
音が出ないという症状がどんなものか調べたいのもあり
私の方から、ぜひ修理をさせて欲しいと喜んで引き受けました。

ひさしぶりのDAT修理で腕が鳴ります(^^;
この機体はオークションで入手との事です。
では、早速調査を始めます。

【セット外観および内部】
イメージ 1
一瞬違和感が、SONYのバッジが取れています。。
イメージ 2

<外観で気になったところ>
曲がっておりケースがちゃんと閉まらない
イメージ 3

ボンネットがゆがんでいる
イメージ 4

内部全景
イメージ 14

RF、SWPのチェック用ランドにジャンパが取り付けられており、
前ユーザーがオシロでテープパスを確認した痕跡があります。
それならテープパスのズレに気が付ついても良いと思うのですが?
イメージ 15

FL表示は輝度低下・ムラが目立つので、通電時間が長かった様です。
イメージ 5

足が純正ではないです。これDTC-55ES、DTC-57ESのものですね。
イメージ 6

【動作】
ご指摘通り、通常再生で音が出ません。
サブコード情報(ABSタイム、スタートID、録音日時など)の読み出しは可能。
LPモードで録ったテープだと途切れながら再生します。(ヘッドが2回読みするからかな??
SP/LP共にキュー、レビューでは(ノイズが凄いけど)音が出ます。

この時のRF信号を、オシロで確認するとこんな感じです。
イメージ 8

何だか早聞き中の波形みたいですが再生時です。
テープパスがメタメタに狂っています。
これでは正常に音が出る訳がありませんね。

よく観察するとサプライ側ガイドが完全にローデイングされていない事が見つかりました。
本来ならこのストッパーの奥まで押し当たってないといけません。写真では隙間があるのが分かります。
この状態で使うと、テープパスに関わる部分なのでノイズが出たり、互換性がなくなったりします。
原因は、ローディングリングのグリス固着でしょう。このメカの定番故障です。
イメージ 7

試しに楊枝で奥まで押さえつけると、途切れながら音が出る時がありました。
そのときの波形が以下です。
イメージ 9

それでもまだズレています。
入口側ポストの高さがおかしいようです。
でも、これくらいの波形が出れば聞ける音が出そうなんですが。。。

オシロの時間軸を遅くしたら、見つけてしまいました。イメージ 10

RF波形の下はヘッドの切り替え信号(スイッチングパルス=SWP)です。
VTR等の回転ヘッドを使用した機器と同様、DATも2つのヘッドを交互に切り替えなら記録再生を行っています。
SWP信号がHi(上)のときはBヘッド、Low(下の)時はAヘッドをそれぞれ使用しています。

Hiの期間にもRFがあるべきなのに、上記写真ではありません。
つまりは、Bヘッドが全く信号を読めていないという事になります。

残念ながらヘッド不良が確定しました。
もちろん「想定内」ですが(笑)

DATの場合、片方のヘッドが全く読めなくても音質は大幅に劣化しますが音は再生されます。
(欠落したデータは近似補完されるため、中高域が歪んだようなギスギスした音になります)
今回のケースだと、テープパスもおかしいので正常なAヘッドも役に立たず、それもできないようです。

ヘッドを拡大してみますと、
イメージ 11

イメージ 12

なんとヘッドの物理破損でした。
ヘッドチップのギャップ部分がなくなり、コイルもほぐれてしまっています。
これでは信号が拾えるわけがないですね(^^;
普通に使っていてこのような状態になることはまず考えられません。
ヘッドの清掃時にヘマをするとこうなりますが。。。

こちらは正常なAヘッドの方です
見比べてみると、一目瞭然です。
イメージ 13

他にも何かありそうな感じがします。。
もうちょい掘り下げてみたいので、また次回に続きます。

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